いまでも「蓄電池を導入すれば電気代がタダになる」「電力切り替えで大幅節約できる」といった営業電話が相次いでいます。
しかし、実際にシミュレーションしてみると、多くの家庭では設置から0年経っても元が取れないのが現実です。
この記事では、具体的な数字を使って「なぜ収支が合わないのか」「なぜ“ぼったくり”と感じるのか」をわかりやすく解説します。
☀️ 初期投資と回収年数
- 自家用太陽光発電(5kW)の設置費:約200万円
- 発電量(青森クラス):年間5,500kWh(平均1,100kWh/kW・年、5kW × 1,100 = 5,500kWh/年)
- 発電量(東京クラス):年間6,500kWh(平均1,300kWh/kW・年、5kW × 1,300 = 6,500kWh/年)
(出典:日射量データはNEDO「METPV-20(日射量データベース)」に基づくシミュレーション値です。)
👉 ケース比較(自家消費30〜50%、売電単価15円→8.3円:2025年度)
条件 | 単純回収年数 | NPV(20年・割引率2%) |
---|---|---|
青森クラス・自家消費30% | 回収できず | ▲76万円 |
東京クラス・自家消費50% | 約18年 | ▲4万円(ほぼトントン) |
※13年目にパワコン交換費 約35万円を計上済み。
※「NPV」とは“未来のお金をいまの価値に置き換えて計算する方法”
太陽光はこの計算をすると、多くのケースでマイナス=損になる。
🕳️売電単価の落とし穴

- 2012年:42円/kWh → 2025年度:15円/kWh
- FIT終了後は8.3円程度まで下落。
👉 売電頼みの収益モデルはもう成立しない。
💰 見落とされがちなコスト
- メンテ費:年約5,300円(5kWの場合)Daigasコラム/大阪ガス
- パワコン交換:およそ30〜42万円(10〜15年目)オムロン ソーシアルソリューションズ 京セラ タイナビ
- 蓄電池導入:数十万〜百数十万円追加(蓄電池価格は幅が広く、個別見積り要)
👉 営業トークではこれらを「小さい数字」として軽視されがち。
👿「ぼったくり」が続く理由
- 補助金やFIT制度の名残で“お得感”を演出しやすい
- 発電量や自家消費率を楽観的に提示される
- 契約時は「9年で回収」と言われても、実際は20年でも赤字
- 蓄電池や切替商材を抱き合わせで販売 → 追加費用でさらに赤字
例:「太陽光発電システム 20年間のライフサイクルコスト」

※図のとおり、青森クラスでも東京クラスでも 20年間赤字が続き、最後に処分費でさらにマイナス になります。
「9年で回収できます」という営業トークは、実際の数字では成り立ちません。
🛡️それでも設置したい消費者を守るためのチェックリスト
- 相見積を必ず取る(3社以上)
- メンテ・交換費込みの総額を明示させる
- 自家消費率を確認(昼間の電力使用パターンを基に試算)
- 売電単価の適用期間を必ず確認
- 不安なら消費生活センターへ相談
⤵️忘れるな「処分費」

太陽光発電は「設置して終わり」ではありません。寿命20〜30年を迎えたとき、必ずパネルやパワコンの処分が発生します。
- パネル廃棄:1枚数千円〜1万円超
- 一般家庭規模(約5kW=20枚前後):総額20〜30万円
- 産業廃棄物扱いで運搬費込み
👉 つまり、“最後の出口”でも追加コストが発生。営業トークでは触れられないため、「後から知ってショック」という人が続出しています。
まとめ
太陽光・蓄電池は「初期投資200万円+維持費+パワコン交換+処分費20〜30万円」。
20年でやっと元を取れるかどうかの上、最後に処分費でトドメ。
=収支の合わない投資を「お得ですよ」と売っている構図こそ、いまだに「ぼったくり」と呼ばれる理由です。
👉 「9年で回収できます!」という営業トークに惑わされず、まずは 自宅の発電量シミュレーションと自家消費率 を確認しましょう。納得できないなら断ってください。
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