保険を売らないFPシリーズ 第13回【保険より現金】老後の医療費・介護費はいくら要る?——公的制度×キャッシュで守る最強プラン

お金・手続き・相続

「老後は、医療保険や介護保険に入らないと不安だな」——そう感じている人は多いのではないでしょうか?


実は、公的制度(健康保険の高額療養費制度、介護保険の高額介護サービス費、さらに高額医療・高額介護の合算制度)を正しく使えば、余剰資金で十分に守れるケースが多いのです。

この記事では、いくら用意すれば安心かを示します。

この記事で学べること

破壊的なリスクは、損害保険(火災・自動車)で守る。
医療・介護は公的制度+余剰資金で備える——これが合理的な土台になります。

🏥医療費のリアル:総額は大きくても「自己負担」は上限管理される

  • 日本の生涯医療費(国全体で医療に投じられる費用の個人配賦)は約2,900万円。うち70歳以上がおおよそ半分を占めるが、これは自己負担額ではない。自己負担は公的制度で強く抑えられている。 基礎資料厚生労働省
  • 高額療養費制度:月ごとの医療費自己負担に所得区分別の上限がある。たとえば「70歳未満・年収約370〜770万円」なら上限は80,100円+(医療費−267,000円)×1% 約87,430円まで軽減されます。重い入院や高額治療でも、家計が破綻しにくい最高の仕組みなんです。2025年8月に一部見直し予定だが、上限管理の枠組み自体は維持される。 厚生労働省
  • 70〜74歳・75歳以上も同様に区分があり、「一般所得者」の外来上限は月18,000円(年間14.4万円)などの目安が明示されている。 共済会館
  • 入院の平均在院日数は短期化。2023年は「病院平均26.3日」「一般病床15.7日」。長期高額入院になりにくい構造変化が続く。 厚生労働省

要点:医療費は“総額”で見ると大きいが、自己負担は月ごと上限で頭打ち+入院短期化
→ 「医療保険がないと破綻」は必ずしも当たらない

🧓介護のリアル:月いくら・何年つづく?

  • 直近調査(生命保険文化センター)では、一時費用平均47.2万円月額費用平均9.0万円(在宅5.3万円/施設13.8万円)。平均介護期間は55.0ヶ月(約4年7ヶ月)公益財団法人 生命保険文化センター
  • 介護の自己負担は原則1〜3割。さらに、医療と介護の自己負担を1年単位で合算し、上限を超えた分を払い戻す「高額医療・高額介護合算制度」がある。長期化しても自己負担が暴走しないセーフティネットなんです。 内閣官房

要点:介護は“長く・じわじわ”効く支出だけど、自己負担は1〜3割+年間合算の上限でコントロール可能✌️。

💰いくら現金を用意すれば安心?(モデル別の目安)

目的は“保険を買うこと”ではなくキャッシュで耐える体力を作ること。

モデルA:夫婦(持ち家/都市部)

モデルB:単身(賃貸/家族サポート薄め)

  • 医療の突発費:約10万円×4ヶ月=40万円
  • 介護の初期費:約50万円
  • 介護の月額:9万円×36ヶ月=324万円(施設寄り想定でやや厚め)
    合計:約420万円

※所得区分・健康状態・地域物価で増減します。上記は制度の上限管理が効く前提のおおまかな安全側設計。

📃“保険を持たない”合理性(老後は火災・車だけでOKの根拠)

  1. 医療費は月上限が明確(多数回該当でさらに軽減)
  2. 入院は短期化。日額型の民間医療保険と合いにくい
  3. 介護は個人差が極端。掛け金総額>給付になりやすいケースも。現金なら使途が自由で機動的
  4. 物価・医療環境の変化に対して、現金(+短期資金)は再配分しやすい
    → よって、火災・自動車(+地震検討)の損害保険だけ残し、医療・介護は現金で受け止める戦略がベストです
【保険を売らない公正なFP第2話】「その保険、本当に必要ですか?」保険屋が教えてくれない“保障の取捨選択”
不要な保険に入っていませんか?FP2級&元保険業界の筆者が特約だらけの保険の落とし穴や本当に必要な保障を解説します。保険を見直して家計を守るための実践的なヒントが満載です。

🧗いますぐできる実装(3ステップ)

  1. 口座を分ける
    ①生活防衛(生活費6ヶ月)/②医療・介護の余剰資金上記モデル金額)/③運用(NISA等)。使途を固定して迷いを排除しましょう
  2. 自分の“上限額”を把握
    高額療養費の所得区分、70歳以上の外来・世帯上限、介護の月上限(高額介護サービス費)医療・介護合算の枠を確認。いざという時、どこまでが自腹の天井かを知っておく
  3. 介護の“初期50万円+月額”を先に作る
    まず50万円を別口で確保→次に9万円×12〜24ヶ月へ積み増し(在宅→施設への段階上げにも対応)

まとめ:保険は“破壊的リスク”だけ。医療・介護は公的制度×現金で勝つ

  • 医療:高額療養費で月上限管理、平均在院日数は15.7〜26.3日へ短期化
  • 介護:一時47.2万円/月9.0万円/期間55ヶ月が最新平均。自己負担1〜3割+医療・介護合算で暴走しにくい
  • よって火災・自動車を残し、医療・介護は余剰資金で備えるのが合理的
  • 目安として、夫婦(持ち家)で約300万円前後/単身(賃貸)で約420万円の“医療・介護専用余剰資金をまず作る(別枠で生活防衛資金)

主要出典

  • 厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設調査・病院報告の概況」:平均在院日数(病院26.3日/一般病床15.7日)。 厚生労働省
  • 厚生労働省「高額療養費制度について」(2025年5月資料)・「見直しについて」(2025年1月):自己負担上限の枠組みと改定情報。 厚生労働省+1
  • 協会けんぽ「70歳以上の高額療養費(外来・世帯上限)」:具体的な上限金額(一般所得者:外来18,000円/年14.4万円等)。 共済会館
  • 生命保険文化センター(JILI)「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(2024年度調査):一時47.2万円・月9.0万円・期間55.0ヶ月公益財団法人 生命保険文化センター
  • 内閣府資料「高額介護合算療養費制度 概要」:医療・介護の自己負担を1年合算で上限管理する制度説明。 内閣官房

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