「老後は、医療保険や介護保険に入らないと不安だな」——そう感じている人は多いのではないでしょうか?
実は、公的制度(健康保険の高額療養費制度、介護保険の高額介護サービス費、さらに高額医療・高額介護の合算制度)を正しく使えば、余剰資金で十分に守れるケースが多いのです。
この記事では、いくら用意すれば安心かを金額で示します。
この記事で学べること
破壊的なリスクは、損害保険(火災・自動車)で守る。
医療・介護は公的制度+余剰資金で備える——これが合理的な土台になります。
🏥医療費のリアル:総額は大きくても「自己負担」は上限管理される
- 日本の生涯医療費(国全体で医療に投じられる費用の個人配賦)は約2,900万円。うち70歳以上がおおよそ半分を占めるが、これは自己負担額ではない。自己負担は公的制度で強く抑えられている。 基礎資料厚生労働省
- 高額療養費制度:月ごとの医療費自己負担に所得区分別の上限がある。たとえば「70歳未満・年収約370〜770万円」なら上限は80,100円+(医療費−267,000円)×1% 約87,430円まで軽減されます。重い入院や高額治療でも、家計が破綻しにくい最高の仕組みなんです。2025年8月に一部見直し予定だが、上限管理の枠組み自体は維持される。 厚生労働省
- 70〜74歳・75歳以上も同様に区分があり、「一般所得者」の外来上限は月18,000円(年間14.4万円)などの目安が明示されている。 共済会館
- 入院の平均在院日数は短期化。2023年は「病院平均26.3日」「一般病床15.7日」。長期高額入院になりにくい構造変化が続く。 厚生労働省
要点:医療費は“総額”で見ると大きいが、自己負担は月ごと上限で頭打ち+入院短期化。
→ 「医療保険がないと破綻」は必ずしも当たらない。
🧓介護のリアル:月いくら・何年つづく?

- 直近調査(生命保険文化センター)では、一時費用平均47.2万円、月額費用平均9.0万円(在宅5.3万円/施設13.8万円)。平均介護期間は55.0ヶ月(約4年7ヶ月)。 公益財団法人 生命保険文化センター
- 介護の自己負担は原則1〜3割。さらに、医療と介護の自己負担を1年単位で合算し、上限を超えた分を払い戻す「高額医療・高額介護合算制度」がある。長期化しても自己負担が暴走しないセーフティネットなんです。 内閣官房
要点:介護は“長く・じわじわ”効く支出だけど、自己負担は1〜3割+年間合算の上限でコントロール可能✌️。
💰いくら現金を用意すれば安心?(モデル別の目安)
目的は“保険を買うこと”ではなく、キャッシュで耐える体力を作ること。
モデルA:夫婦(持ち家/都市部)
- 医療の突発費:上限約8〜10万円×3ヶ月=30万円(70歳未満・年収370〜770万円区分を目安) 厚生労働省
- 介護の初期費:約50万円(一時費用47.2万円を丸め) 公益財団法人 生命保険文化センター
- 介護の月額:9万円×24ヶ月=216万円(まず2年のクッションを確保) 公益財団法人 生命保険文化センター
→ 合計:約300万円前後(これとは別に生活防衛資金=生活費6ヶ月を確保)
モデルB:単身(賃貸/家族サポート薄め)
- 医療の突発費:約10万円×4ヶ月=40万円
- 介護の初期費:約50万円
- 介護の月額:9万円×36ヶ月=324万円(施設寄り想定でやや厚め)
→ 合計:約420万円
※所得区分・健康状態・地域物価で増減します。上記は制度の上限管理が効く前提のおおまかな安全側設計。
📃“保険を持たない”合理性(老後は火災・車だけでOKの根拠)
- 医療費は月上限が明確(多数回該当でさらに軽減)
- 入院は短期化。日額型の民間医療保険と合いにくい
- 介護は個人差が極端。掛け金総額>給付になりやすいケースも。現金なら使途が自由で機動的
- 物価・医療環境の変化に対して、現金(+短期資金)は再配分しやすい
→ よって、火災・自動車(+地震検討)の損害保険だけ残し、医療・介護は現金で受け止める戦略がベストです

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🧗いますぐできる実装(3ステップ)

- 口座を分ける:
①生活防衛(生活費6ヶ月)/②医療・介護の余剰資金上記モデル金額)/③運用(NISA等)。使途を固定して迷いを排除しましょう - 自分の“上限額”を把握:
高額療養費の所得区分、70歳以上の外来・世帯上限、介護の月上限(高額介護サービス費)、医療・介護合算の枠を確認。いざという時、どこまでが自腹の天井かを知っておく - 介護の“初期50万円+月額”を先に作る:
まず50万円を別口で確保→次に9万円×12〜24ヶ月へ積み増し(在宅→施設への段階上げにも対応)
まとめ:保険は“破壊的リスク”だけ。医療・介護は公的制度×現金で勝つ
- 医療:高額療養費で月上限管理、平均在院日数は15.7〜26.3日へ短期化
- 介護:一時47.2万円/月9.0万円/期間55ヶ月が最新平均。自己負担1〜3割+医療・介護合算で暴走しにくい
- よって火災・自動車を残し、医療・介護は余剰資金で備えるのが合理的
- 目安として、夫婦(持ち家)で約300万円前後/単身(賃貸)で約420万円の“医療・介護専用余剰資金をまず作る(別枠で生活防衛資金)
主要出典
- 厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設調査・病院報告の概況」:平均在院日数(病院26.3日/一般病床15.7日)。 厚生労働省
- 厚生労働省「高額療養費制度について」(2025年5月資料)・「見直しについて」(2025年1月):自己負担上限の枠組みと改定情報。 厚生労働省+1
- 協会けんぽ「70歳以上の高額療養費(外来・世帯上限)」:具体的な上限金額(一般所得者:外来18,000円/年14.4万円等)。 共済会館
- 生命保険文化センター(JILI)「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(2024年度調査):一時47.2万円・月9.0万円・期間55.0ヶ月。 公益財団法人 生命保険文化センター
- 内閣府資料「高額介護合算療養費制度 概要」:医療・介護の自己負担を1年合算で上限管理する制度説明。 内閣官房
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