失業手当受給中に早めに再就職すると「再就職手当」が支給されます。
さらに、再就職後の給与が前職より下がった場合には「就業促進定着手当」が差額を補填してくれます。
この記事では、2つの制度の仕組み・条件・計算例・申請期限を整理し、体験談や注意点も交えてわかりやすく解説します。
この記事のゴール
👉 失業手当を受給中で再就職を考えている方は、まず自分の「基本手当日額」と「残日数」を確認して試算してみましょう。
👉 制度は複雑ですが、ハローワーク窓口で相談すれば解決できます。損をしないためには、必ず期限を意識して動きましょう!
💰そもそも失業手当(基本手当)とは
雇用保険に加入していた人が離職した際に生活のつなぎとして支給されるのが基本手当(いわゆる失業手当)です。
所定給付日数と基本手当日額は、離職前の賃金や年齢、勤続年数によって決まります。
✅再就職手当とは? ― 早期就職のインセンティブ

仕組み
- 支給額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 60~70%(残りの給付日数により変わります)
- 残日数が多いほど支給額が大きくなる仕組み
メリット
- まとまった資金を一括で受け取れる
- 就職直後の生活資金に余裕ができる
デメリット
- 失業手当を満額受給するより給付される総額が減る可能性がある
- 条件や申請期限を満たさないと支給されない
📊 計算例ボックス(再就職手当)
ケース:所定給付日数120日、基本手当日額6,000円
1か月後に再就職(残日数90日 3分の2以上)の場合基本手当日額 × 支給残日数 × (60% or 70%)
- 所定給付日数の3分の2以上残して就職 → 70%
- 3分の1以上残して就職 → 60%
計算式:6,000円 × 90日 × 70%
👉 378,000円が支給
📑 主要要件チェック表(再就職手当)
条件 | 内容 |
---|---|
就職時期 | 待期期間7日経過後に就職すること |
雇用形態 | 1年以上の雇用が見込まれること |
離職との関係 | 前職と密接な関係がないこと |
再受給制限 | 過去3年以内に受給していないこと |
申請期限 | 就職日の翌日から1か月以内 |
⤴️就業促進定着手当とは? ― 給与ダウン時の救済制度

対象者
- 再就職手当を受給した人
- 就職した会社で6か月以上働いている人
- 再就職後6か月の賃金日額が離職前より低下している人
計算式
(離職前賃金日額 − 再就職後6か月の賃金日額) × 支払基礎日数
支給上限
- 原則:基本手当日額 × 支給残日数 × 20%(2025年4月1日より引き下げられました)
- 経過措置(2025年3月31日以前に再就職した場合):30~40%まで
📊 計算例ボックス(就業促進定着手当)
ケース:離職前日額12,000円、再就職後日額10,000円
差額=2,000円、基礎日数180日計算式:2,000円 × 180日 = 360,000円
ただし上限あり:基本手当日額6,000円 × 失業手当残日数100日 × 20% = 120,000円
👉 実際の支給額は120,000円
📌 補足:基礎日数の考え方
「基礎日数」とは?
就業促進定着手当の計算で使う「6か月間の支払基礎日数」を指します。
これは雇用保険料を計算するときの“対象日数”です。
月給制の場合
- 原則として 1か月=30日換算
- 6か月勤務 → 30日×6=180日
日給・時給制の場合
- 実際に勤務した日数を合計
- 例:月20日勤務×6か月=120日
- ただし「70%補正ルール」があり、
- (a) 賃金合計 ÷ 180日
- (b) 賃金合計 ÷ 出勤日数 × 70%
→ このうち大きい方を「賃金日額」として採用
📑 主要要件チェック表(就業促進定着手当)
条件 | 内容 |
---|---|
再就職手当 | 受給していること |
勤務期間 | 同じ事業所で6か月以上雇用保険被保険者として勤務 |
賃金日額 | 再就職後6か月間の賃金日額が離職前を下回ること |
申請期限 | 6か月経過日の翌日から2か月以内 |
必要書類 | 申請書、受給資格者証、給与明細6か月分、賃金台帳など |
✏️申請の流れ(時系列で理解)

再就職手当
- 受給資格者証をもらう
- 待期7日終了後に就職
- 就職日の翌日から1か月以内に申請
- 約1~2か月で口座に振込
就業促進定着手当
- 再就職後、同じ会社で6か月以上勤務
- 6か月経過日の翌日から2か月以内に申請
- 必要書類:申請書、受給資格者証、6か月分の給与明細・賃金台帳など
⤴️失業手当とどちらが得か?
- 早くまとまった資金が必要な人 → 再就職手当が有利
- 総額を重視し、転職に時間をかけたい人 → 失業手当を満額受給
- ポイントは「損得だけでなく、職場選びの納得感」
👦体験談・利用者の声
- 40代男性(自己都合退職):「再就職手当をもらって安心したけど、半年働いたら給与が下がっていた。定着手当が入って、家計的にすごく助かった」
- 50代女性(契約社員→再就職):「フルタイム勤務に戻れたが給与は下がった。制度を知らなかったら損するところだった」
⚠️よくある注意点
- 締切日の扱い:給与締日をまたぐと「最初の締切後6か月」で計算
- 残日数の確認:失業認定を受けた日数は差し引かれる
- 上限に注意:差額×日数で多く見えても20%上限で頭打ちになる
❓よくあるQ&A
Q1. 再就職手当をもらった後、すぐに辞めたらどうなる?
A. 再就職手当を受給後に短期離職した場合は、残っていた失業手当はそのまま復活しません。再就職手当相当分を差し引いた残り日数分だけが再支給対象になります。短期離職だと金銭的に不利になるので「すぐ辞めそうな職場」での申請は要注意です。
Q2. 就業促進定着手当は賞与やボーナスも含めて計算される?
A. 含まれません。賞与は「3か月を超える期間ごとに支払われるもの」として除外されます。あくまで月給・日給・時給などの6か月間の総支給額(通勤手当・残業代は含む)を基準に計算します。
Q3. 再就職手当や就業促進定着手当は課税対象になる?
A. 雇用保険の給付金はすべて非課税です。確定申告や年末調整で所得に含める必要はありません。ただし、社会保険の「扶養判定」には影響するケースがあるので、心配なら健康保険組合に確認しましょう。
まとめ
- 再就職手当=早期再就職のご祝儀
- 就業促進定着手当=給与ダウンの救済
- 両方を理解して計算・期限を押さえれば、生活再建を強力にサポートしてくれる
⚖️ 比較表:再就職手当 vs 就業促進定着手当
項目 | 再就職手当 | 就業促進定着手当 |
---|---|---|
趣旨 | 早期再就職を促進する「ご祝儀」 | 給与が下がった場合の差額補填 |
受給対象 | 失業保険受給中に早く就職した人 | 再就職手当を受給し、その後6か月勤務した人 |
支給額 | 基本手当日額 × 残日数 × 60~70% | (離職前日額−再就職後日額)× 基礎日数(上限あり) |
上限 | 基本手当日額に年齢別の上限あり | 基本手当日額 × 残日数 × 原則20% |
申請時期 | 就職日の翌日から1か月以内 | 6か月経過日の翌日から2か月以内 |
必要書類 | 採用証明書、受給資格者証、申請書 | 賃金台帳、給与明細6か月分、申請書 |
メリット | 早期就職でまとまった資金が一括入金 | 給与減少の生活不安を和らげる |
デメリット | 総額は失業手当満額より減る可能性 | 上限が低く、大幅補填は期待しにくい |
こんな人向き | 「すぐに生活資金が必要」「早く職に就きたい」 | 「給与が下がったが安定雇用を続けたい」 |
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