住民税の仕組みを知らないと損する理由|特別徴収・普通徴収・申告の落とし穴をFPが解説【公正なFPシリーズ第36回】

公正なFPシリーズ

「住民税は、給料から毎月引かれている税金ですよね?」

私を含めて、ほとんどの方がこの程度の認識かと思います。

実はここに落とし穴があります。

住民税は、払う方法(特別徴収か普通徴収)や申告の有無により

  • 払い忘れてしまうことが
  • 追徴・延滞金のリスク
  • 行政からの証明書が発行されない
  • 副業が会社に知られるきっかけになる などのデメリットがおきやすい税金です。

この記事では、住民税の仕組みをわかりやすく解説します。

💰住民税は「誰が」「どこに」「いつ」納める税金?

住民税(個人住民税)は、1月1日時点で住んでいる市区町村で課税・徴収される税金です。

引越し後に「どこから納付書が来るのだろう?」「引越し前の自治体から通知が届いたけど、払う必要ある?」と混乱しやすいポイントです。

😱天引き(特別徴収)と納付書(普通徴収)を知らないと事故る場合が

住民税の納め方は2つあります。

特別徴収

勤務先が、毎月の給与から住民税を差し引いて納める方法です。
(基本は6月〜翌年5月の12回。前年の所得をもとに課税されます

普通徴収

届いた納付書(納税通知書)のより納める方法です。
(自治体によって支払い期限が多少違いますが、年4回の分割)

普通徴収は、「納付書が届いていたのに支払いを忘れていた」と滞納が起きやすく、延滞金などのリスクがあります。

😢会社員給与の住民税は、原則特別徴収で選ぶことはできない

「住民税を給与からの徴収ではなく自分で払いたい(普通徴収にしたい)」

しかし、会社が源泉徴収義務のある給与支払者ですと、住民税は原則として特別徴収の取り扱いになるという運用がされています。

以下のような特定の事情がある場合は、例外的に普通徴収が認められることがあります。 

  • 給与の支払いが毎月ではない(例:2か月に1回、年4回など)
  • 総従業員数が2名以下である場合(一部自治体による)
  • 他の市区町村に転勤する場合
  • 退職予定が近い場合
  • 給与以外の所得(副業など)に係る住民税を別途自分で納付したい場合(確定申告時に手続きが必要)。 

🏢副業している場合、住民税の徴収方法の選択を間違えると会社にバレる可能性が

副業をしている人が不安になるのがこの部分。

住民税は、会社員の給与からの天引き(特別徴収)を基本にしながらも、副業(事業所得)については普通徴収か特別徴収かを選択することができます。

ここで特別徴収を選択すると、副業の所得が多い場合に住民税の納税額が増えて会社側の経理担当者が「給与所得の割に住民税額が多い、おかしい」と副業をしていることがバレる可能性があります。

副業をされている方は、住民税の申告をお住まいの自治体で行い、申告書へは「普通徴収」を選択するようにしましょう。

⤵️確定申告をしない人ほど「住民税申告」で損しやすい

確定申告(所得税)と住民税申告は別物です。

  • 確定申告をすると、その内容が市区町村に連携されて住民税の計算にも使われる
  • 逆に住民税のみ申告しても、所得税の確定申告をしたことにはなりません

そして多くの自治体では、住民税の申告がないと各種証明書(住民税の「課税証明書」や「非課税証明書」、「所得証明書」など)発行ができない/国民健康保険の算定に影響/各種手当や助成が受けられないなどといったデメリットを明示してます。

つまり、所得税の確定申告をしていない人は、住民税申告をしないと損をしやすいのです。

住民税の申告が必要になる主なケースをまとめました

確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合があります。

これは主に、給与や年金以外の所得があって、その情報が市区町村に伝わらない場合です。 

  • 副業による所得が20万円以下の場合: 所得税では確定申告が不要とされていますが(20万円ルール)、住民税にはこの特例がないために所得が1円でもあれば原則として申告が必要です。
  • 公的年金等の収入が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下の場合: 所得税の確定申告は不要ですが、医療費控除などの各種控除を追加で受ける場合は、住民税の申告が必要です。
  • 収入がなかった(無収入)場合: 住民税が非課税であることを証明するためや国民健康保険料、保育料、各種行政サービス(給付金など)の算定のために、所得が0円であることを申告(ゼロ申告)した方が良い場合があります。 

📄住民税は「証明書・行政手続き」と直結する

住民税の課税情報は、生活のいろんな場面で使われます。

  • 課税(非課税)証明書
  • 所得証明書
  • 行政サービスの判定(児童手当、障がい者手当、医療費助成など)  など

各自治体では「住民税申告がない場合、証明書が発行できないことや各種手当・助成金が受けられことがある」旨を案内しています。

✅ここだけ押さえればOK(チェックリスト)

  • 住民税は1月1日時点の住所の自治体で課税される
  • 納め方は、特別徴収(給与天引き)/普通徴収(納付書)の2種類
  • 給与所得者は原則、特別徴収の取り扱い
  • 確定申告をすれば住民税に連携される(基本は申告不要)
  • 住民税申告がないと、証明書や国民健康保険料算定、手当で困ることがある

❓よくあるQ&A

Q. 住民税は、自分で払うか天引きか選べる?

A. 会社員は原則は給与天引き(特別徴収)。

希望だけで普通徴収にできません。

会社員でも事業所得がある場合は、事業所得については普通徴収か特別徴収の選択が可能です。

Q. 確定申告したら住民税申告も必要?

A. 確定申告内容が市区町村に連携されて、住民税計算に使われるために別途の住民税申告は原則不要です。

Q. 確定申告しない場合、住民税は放置でいい?

A. 自治体によっては住民税申告がないと証明書が出せない等の不都合があります。

☀️まとめ

住民税は「税額」そのものより、仕組み(納め方・申告・連携)を知らないことで損するかもしれない税金です。

  • 払い忘れ(普通徴収の場合)
  • 会社員は特別徴収が原則
  • 副業をしていると住民税でバレることがある
  • 申告がないと証明書等が発行されない、手当が受けられない場合が

まずは、自分の自治体サイトで「住民税の申告や特別徴収、普通徴収」を確認して、事故を未然に防ぐのがベストです。

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