法人保険は、生命保険や福利厚生保険の役割・資産保全・事業承継まで幅広い経営課題の解決方法として扱われています。
ただし、法人保険にも業界構造上のゆがみがあります。
📍 1. 税理士が保険代理店を兼業する状況
税理士は、本来顧問先の税務・会計の助言をする立場ですが、税理士自身が 保険代理店業務を行うケースがあります。
この場合には
- 顧問先に保険を勧めて、契約することで税理士自身が報酬を得られる
- 保険会社からの紹介手数料や販売インセンティブが入る可能性がある
という利益相反が発生しやすい構造になります。
こうしたケースで利益相反が問題になり得ると指摘しています。
今後、税理士が保険代理店業務を行う場合には 、税務業務と保険募集業務を明確に区分して、利益相反を回避する体制整備が求められます。
つまり、税理士だから安心という前提だけで中立性を担保できません。
📌 利益相反がなぜ起きやすいのか?
✴︎ 保険代理制度の仕組み
保険会社やその代理店は、販売した保険契約に対して 手数料(コミッション)を受け取る仕組みです。
世界的な調査で、こうした報酬体系は 販売者のインセンティブと顧客利益のずれ(conflict of interest)を生みやすいとされています。
例えば、英国や米国の保険ブローカーに対しては、販売手数料による利益相反が顧客不利益につながると監督当局が警告し、報酬体系見直しや透明性強化を求めた歴史があります。
こうした構造が日本でも同様にあります。
📌 代理店や兼業が抱える構造的リスク
金融庁や業界団体でも、利益相反が顧客利益を損なう可能性について言及しています。
- 代理店が兼業している場合、保険販売で得られる利益と顧客利益が対立する可能性があるため対応策を検討する動きがある。
- 兼業代理店の立場を利用して自らの利益を優先し顧客不利益になることは許されないとしているガイドラインも出ています。
つまり、税理士であれ保険営業であれ、保険販売において自ら利益を得る立場にある者が提案する商品は、その意図を慎重に見極める必要があるということです。
📌 海外での「ミスセリング(不適切販売)」と利益相反
保険の世界では「ミスセリング(misselling)」という言葉があります。
これは、契約者にとって不適切な商品を販売することを指して、金融リスクになると認識されています。
例えば、米国で大手ブローカーが高い手数料を目的に商品を販売したとして調査された例もあります(保険ブローカーへの手数料構造が争点に。法執行当局が介入したケースあり)。
こうした国際的事例は、日本の法人保険市場にも示唆を与えています。
📌 経営者が見抜くべき 3つの「利益相反サイン」
経営者が保険提案を受けるときには次のような言動が出たら立ち止まるべきです
✅ ① 節税や損金処理だけが強調される
→ 財務上のメリットばかりで、会社のリスク分析・キャッシュフロー視点が欠けている
✅ ② 「決算前だから入るべき」など即決を促す
→ 検討不要・比較不要の印象を与えてくる
✅ ③ 「特定保険会社の商品だけを勧める」
→ 比較検討プロセスが欠けやすい
こうした販売トークは、利益相反構造の影響を受けている可能性があり、慎重な判断が必要です。
📌 信頼できる専門家の特徴(経営者向けチェック)
顧客利益を優先する専門家は、次の行動を取ります:
- 複数社の商品を比較する提案をする
- 財務諸表を見て損益・キャッシュフローに与える影響を説明する
- デメリット・不向きなケースも明示する
- 即決を促すような圧力をかけない
これは単なる営業トークではなく、経営判断として必要なプロセスです。
📌 まとめ:経営者が自分を守る視点
法人保険の販売にも、制度上 利益相反が生じやすい構造があります。
税理士であれ保険営業であれ、その意図を見極める目線が経営者に不可欠です。
単に「税理士が勧めるから良い」「専門家だから安心」と受け止めるのではなく、数字・比較・リスクの視点まで踏み込んで判断することが経営者です。
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