公正なFPシリーズ第43回「知らないで契約していませんか?」保険営業マンに経営を任せる危険と、経営者が自分を守る方法

公正なFPシリーズ

財務諸表もろくに知らない保険営業マンが損金処理や節税の話ばかりしてくる…そんな経験はありませんか?

法人向け保険は、生命保険・損害保険に関わらず、会社の財務や税務・人材・リスク戦略に大きく影響します。

しかし、商品の販売ノルマを第一に考える保険営業マンが会社の経営判断に必要な基礎知識を持たず、営業トークだけで契約を迫るケースがよくあります。

この記事では、経営者が「いい保険営業マンの顔」で近づく人たちの言葉の罠と誤解を避け、会社を守るための基礎知識と実践策をわかりやすく紹介します。

🔎 保険営業マンの最大の弱点

多くの保険営業マンは、

✅ 保険商品の仕組み
✅ 保険会社の収益構造
❌ 会社の財務諸表の読み方
❌ 経営目標と財務戦略の紐づけ

という知識のギャップを抱えています。

このギャップがあるため、営業トークは次のようになりがちです:

営業マン
営業マン
  • これは全額損金扱いできます!
  • 今は○○だから、この商品がベストです
  • 資金繰りに不安があるならこれで解決

こうした言葉は、一見魅力的に聞こえますが会社の貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)という骨格を理解していないと、結果として不要なコストや経営リスクを抱えかねません。

財務諸表は、会社の成績表・健康診断表です

これを読まずに保険を提案することは、医者が診察せずに薬を出すようなものです

経営判断の精度が低くなり、最悪は損失につながります。

🧠 法人保険と経営判断の本質

法人保険は、単なる「支出コントロール」ではなく、次のように会社戦略と結びつけられるべきものです。

✔ キーマン(経営者・後継者)のリスクヘッジ
(予期せぬ事故・病気・死亡時に経営基盤を守る)

✔ キャッシュフローと資産管理の最適化
(高額な支払が将来の利益を圧迫しないか)

✔ 社員・債権者との信頼関係形成
(財務体質を見せられる形にする)

ところが一般的な保険営業のトークは

➡ 「損金で落とせます
➡ 「税金が安くなります
➡ 「いま加入しないと損です

といった売ること優先のフレーズに終始しがちです。

短期的な節税メリットに目を奪われるあまり、将来の財務健全性や会社の最適なリスクポジションが軽視されてしまいます。

📉 実際に起きている保険業界の問題

海外でも「保険営業が売ることだけに注力し、金融アドバイスとしての責任を果たしていない」という批判が出ています。

米国の大手保険会社で、顧客に十分な投資・財務教育をせず、営業ノルマを最優先にした結果として、現在の状況が問題視されています。

こうした事例は、日本の保険市場にも通じるものがあります。

🛡 経営者が自分を守るための5つのアクションプラン

① 自分で財務諸表の基礎を学ぶ

財務諸表は

  • 貸借対照表(B/S)
  • 損益計算書(P/L)
  • キャッシュフロー計算書(C/F)という会社の健康診断です。

これを読めないと、本当に必要な保険の価値が判断できません。

まずは最低限の基礎を身につけましょう

② 保険提案の前に「財務分析」を要求する

営業マンから提案を受けるときは、

🔹「この保険が会社の将来の営業キャッシュフローにどう影響しますか?」
🔹「本当に必要な保障額は財務リスクに基づいていますか?」

など数字ベースの説明を求めてください

単なる損金計上の説明だけではなく、将来損益に与えるインパクトが重要です。

③ 複数の保険会社・コンサルタントから比較する

一社の営業マンだけの説明で決めてしまうのは危険です。

複数の代理店や独立系の保険コンサルタントに同じ質問を投げて比較検討することが、最も合理的な判断につながります。

④ 財務専門家(税理士・会計士)に相談する

保険は税務の影響が大きい商品です。

税務や会計の専門家と一緒に保険の設計をすることで、営業マンの良い話・悪い話を本質的に見極める力がつきます。

⑤ 定期的な見直しを行う

法人保険は、一度入ったら終わりではありません。

会社の売上・利益・キャッシュフローが変わると必要保障額やコスト構造も変わります。

定期的に保険契約の目的と成果を検証する習慣をつけましょう。

🧨 最後に——「売る人」ではなく「守る人」を選ぶ

保険の役割は、会社の財務リスクを理解し、経営者を守ることです。

しかし、業界構造が 販売コミッション重視 のために売ることが目的になりやすいという問題があります。

これは営業マンの責任だけでなく、制度的な構造の問題でもあるため、経営者自身が知識を持つ必要があります

📌 経営者チェックリスト(簡易)

チェック項目YES/NO
提案が財務諸表に基づいている
損金処理だけが強調されている
複数社からの比較提案を取っている
税理士・会計士と相談済み

全部 NO なら…言葉巧みな営業トークに振り回されている可能性があります。

📌 まとめ

  • 保険は経営戦略の一部であり。損金処理だけで判断してはいけない
  • 保険営業マンの多くは商品説明は得意だが、財務分析まで理解していない
  • 経営者自らが数字を読めるようになることが会社を守る最大の武器

大切なのは、「売る人」ではなく「守る人」から選ぶことです。

経営判断に迷ったら、まず財務諸表を開いてみましょう。

✨関連リンク

【FPが解説第1話】ユニットリンク保険の落とし穴|資産運用に向かない理由とは?
保険で資産運用しようとする“ユニットリンク”って本当にお得?元保険業界・FP2級の筆者が手数料の実態や問題点をぶった斬ります。保険と投資は分けて考えるべき理由とは?読めば安心の判断力が身につきます。
プルデンシャル生命で何が起きたのか― これは「一部の不正」なのか?生命保険業界の構造から考える|公正なFPシリーズ第40回
プルデンシャル生命で社員・元社員100人超が関与し、顧客約500人から約31億円が不正に得られていた問題が明るみに出ました。なぜ防げなかったのか。生命保険業界の構造と、顧客が身を守るために知っておくべき視点を公正なFPが解説します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました