地震保険は、火災保険金額の30〜50%までしか掛けられず(建物は上限5,000万円・家財は上限1,000万円)、支払いは全損100%/大半損60%/小半損30%/一部損5%の定額制。
東日本大震災では7割以上が“一部損(5%)”認定。つまり、多くの人が数十万円レベルしか保険金を受け取れなかったのが現実です。
さらに、地震保険料控除は所得控除にすぎず、節税効果はせいぜい数千円。
「控除があるから地震保険はお得」というのは錯覚なのです。
✒️制度の限界を整理しよう

- 付保割合:火災保険金額の30〜50%まで(建物5,000万円、家財1,000万円が上限)
- 支払区分:
- 全損=100%
- 大半損=60%
- 小半損=30%
- 一部損=5%
- 対象外:土地・塀・門・貴金属など
- 時価が上限:再調達価額ではなく、建物の現在価値(時価)が限度となります
👉 地震保険は「壊れた家を建て直すための保険」ではなく、当座の生活資金確保の制度という位置づけです。
🫨東日本大震災の支払い実績
👉 実に7割以上が“一部損=5%”支払い。
火災保険3,000万円の住宅だと地震保険は1,500万円が上限。その5%=75万円しか出ません。
🗡️【基本料率の安い群馬県 vs 東京都】保険料と支払額のリアル比較

前提
- 火災保険金額:3,000万円
- 地震保険付保額:上限50%=1,500万円
- 木造・ロ構造を想定
保険料
- 香川県:11,200円/1,000万円 →11,220円×(1,500万円÷1,000万円)=年間 16,800円
- 東京都:41,100円/1,000万円 → 41,110円×(1,500万円÷1,000万円)=年間 61,650円
👉 同じ補償内容でも約4倍の差。
支払額(最大値)
- 全損=1,500万円
- 大半損=900万円
- 小半損=450万円
- 一部損=75万円
👉 支払額は全国共通(法律で定額化)。
でも、掛け金は地域で大きく差がつく。
控除の効果
群馬県(年16,800円)
- 所得税20%:3,360円
- 住民税10%:1,680円
- 合計:5,040円控除
👉 実質負担=11,760円/年
東京都(年61,650円)
- 所得税控除:上限5万円(税率20%なら1万円)
- 住民税控除:上限2.5万円(10%なら2,500円)
- 合計:12,500円控除
👉 実質負担=49,150円/年
👉 所得控除があっても東京都は約5万円/年の負担。所得控除はたいしたことない。
😅制度の天井とリスク
- 地震保険は官民共同制度
- 1回の地震での総支払限度額は12兆円
- 超過時は比例削減される仕組み 財務省
つまり「全員に満額支払」が保証されているわけではなく、制度的に天井があるのです。
🗒️よくある誤解

- 「全壊じゃないと出ない?」→誤り。一部損でも出るが5%だけ。
- 「再建費用をカバーできる?」→違う。目的は「生活の当座資金」。
- 「控除で得する?」→違う。実際は数千〜1万円台。
💪じゃあどう備える?
- 耐震投資:耐震等級アップ・感震ブレーカー・家具固定。保険料割引(最大50%)も受けられる。
- 自助の積立:月1万円積み立てれば10年で120万円。小口の“一部損”より現実的。
- どうしても加入したい:オススメしませんが、どうしても不安なら“家財のみ”や“上乗せ特約(保険料が上がる)”でピンポイントに。
まとめ
- 保険金は火災の半分まで、支払は100/60/30/5%の定額制。
- 東日本大震災では7割以上が一部損(5%)=数十万円しか出なかった。
- 地震保険の所得控除の効果はごくわずか。
- 制度には総額12兆円の天井があり、無制限ではない。
👉 結論:
「地震保険で家を守る」のは幻想。
壊れない家づくりと自助の積立こそが現実的な備えです。
💡 今日できるアクション
- 火災保険証券を確認して地震保険の掛け金と付保額をチェック
- 年間いくら払っていて、いざという時いくら出るのかを試算
- もし「費用対効果が合わない」と感じたら次回更新で見直しを検討
👉 その保険料を壊れない家づくりや自助の積立に回した方が、未来の自分と家族を守れるかもしれません。
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