「ビットコインやイーサリアムも相続対象になるの?」
「家族が亡くなった時に暗号資産取引所のパスワードがわからない場合どうなる?」
近年、暗号資産(仮想通貨)<*以下、暗号資産>は投資対象として広がってきてますが、相続時の取り扱いについては理解が追いついていないと思います。
この記事では、最新の法令や国税庁通達に基づき、暗号資産の相続手続きの流れ・課税方法・生前対策をわかりやすく解説します。
🟨 暗号資産は「相続財産」として扱われる
2017年4月施行の改正資金決済法により、暗号資産は法的に「財産的価値を有する資産」と認められました。
そのために相続が発生した場合には、預貯金や株式と同様に相続財産として扱われます。
📘 根拠法令
- 資金決済に関する法律第2条5項
- 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い(令和5年改訂)」
🟩 暗号資産の評価方法と課税のしくみ
暗号資産は、被相続人の死亡時点における時価(円換算)で評価されます。
時価は、一般的に取引所の終値(または平均値)を用いて計算します。
💡 ポイント
- 評価額 = 死亡日時点のレート × 保有数量
- レートは「国内主要取引所(bitFlyer・Coincheckなど)」を参考にする
- 相続税申告時は、レートの根拠資料(スクリーンショット等)を添付しておくと安心です
🟨 一番の難関は「アクセス情報」

暗号資産の相続で最も多いトラブルは、ウォレットや取引所へのアクセス不能。
パスワード・秘密鍵・二段階認証などがわからなくなると、資産が取り出せなくなります。
🔒 よくあるケース
- 相続する人が取引所のID・パスワードがわからない
- ハードウォレット(暗号資産の秘密鍵をオフライン環境で保管する物理的な専用デバイス)のPINコード紛失
- メール認証が亡くなった本人のスマホでしかできない
📌 対策
- 紙に書いた「資産リスト+ログイン情報」を安全な場所(金庫など)に保管
- 家族にパスワード等の場所を伝える or 信頼できる専門家に預ける
- 遺言書に「デジタル資産の存在」を明記しておく
🟩 生前にやっておきたい「3つの備え」
| 対策 | 内容 | メリット |
|---|---|---|
| ① 資産リストの作成 | 取引所名・通貨・数量・アクセス情報を一覧化 | 相続人が困らない |
| ② デジタル公正証書遺言 | 暗号資産の存在・管理方法を記す | 法的トラブルを防止 |
| ③ 相続対策として法人化 | 法人名義で保有することで管理が容易に | 継承がスムーズ |
🟨 取引所別の対応実例(2025年最新)
| 取引所名 | 相続時の手続き | 提出書類 |
|---|---|---|
| bitFlyer | 相続受付フォームあり | 戸籍謄本、死亡診断書、相続人代表の本人確認書類など |
| Coincheck | サポート窓口にメール申請 | 遺言書がある場合はコピー提出 |
| GMOコイン | 書面での相続依頼 | 相続人全員の同意書が必要 |
👉 各社とも自動で相続されないため、相続人が自ら申請する必要があります。

🟩 暗号資産特有の相続トラブル事例
- 相続人が資産の存在を知らずに申告漏れで追徴課税
- 取引所の相続サポートに連絡して手続きを始めるも法的書類が揃わずに放置
- ウォレットの情報をクラウドに保存していたが、本人しかアクセスできず不明
👉 暗号資産は「相続漏れ」になりやすい。
相続開始前に整理しておくことが重要です。
🟧 Q&A:読者からよくある質問
Q1:仮想通貨の相続税はどのくらいかかる?
A:他の相続財産と合算されて通常の相続税率(10〜55%)が適用されます。特別な軽減措置はありません。
Q2:海外取引所(Binanceなど)にある資産も課税対象?
A:はい。日本の税法は「居住者」であれば、海外取引所・海外ウォレットを含め全世界の財産が対象になります。
Q3:NFTやメタバース資産も相続できますか?
A:原則「財産的価値」があれば相続対象です。ただし、評価が難しいため専門家(弁護士や税理士)への相談が必須です。
🟦 まとめ|“見えない資産”こそ備えが大切
暗号資産は、相続手続きの中でも見落とされやすい資産です。
生前にリスト化して、家族とパスワードやウォレット情報を安全に共有すること。
それが家族を守る「愛の形」です。
✅ 参考資料
| 種別 | 根拠・資料名 | 概要 |
|---|---|---|
| 法令 | 資金決済に関する法律 第2条5項(又は第2条第5項) e-Gov | 「暗号資産とは何か」を定義している条文。法令上「暗号資産」として扱われることの根拠。例えば「不特定の者に対して代価の弁済のために使用でき、電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値」等。 asb-j.jp |
| 法令 | 資金決済に関する法律の改正(令和2年5月1日施行) 金融庁 | 「仮想通貨」から「暗号資産」へ呼称変更されたこと、登録制の導入など。利用者・交換業者の規制枠組み。 |
| 資料・通達 | 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」 国税庁 | 暗号資産を相続・贈与・取得した場合の税務上の扱い。相続税・贈与税・評価の方法など。 |
| 資料 | 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(令和6年12月版)」 国税庁 | 比較的新しい資料。暗号資産の所得税・法人税・計算書フォーマットなど。 |
| 資料・解説 | 相続税評価における暗号資産の取扱い(解説記事) ゼロス有限責任監査法人 – 会計・監査のプロフェッショナル | 「相続財産としての暗号資産」は相続税の対象であり、評価方法(死亡時点の時価等)について記載あり。 |
| 資料・解説 | 残高証明書等を活用した仮想通貨残高に係る相続税申告手続の簡便化案内 国税庁 | 取引所からの残高証明書を利用した相続税申告の手続き上の対応例。 |
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