離婚や死別などでひとり親になった家庭を支えるのが「児童扶養手当」です。
全国どこに住んでいても申請できる国の制度ですが、前年の所得で支給の可否が決まることを知らない人も多いのではないでしょうか。
私も知らずに役所へ相談に行った際に「前年に収入があるから対象外」と言われました。
しかし、条件が合えば毎月4万円以上も支給される大切な支援制度です。
この記事では、全国共通の受給要件・所得制限・支給金額・申請の流れをやさしく解説します。
🇯🇵【全国どこでも使える】児童扶養手当とは?
児童扶養手当は、「児童扶養手当法」に基づく国の制度で全国すべての市区町村で運営されています。
対象は、父または母と生計を同じくしていない児童を養育するひとり親やこれに準ずる養育者。
申請・支給の窓口は「住民票のある市区町村」です。
つまり、全国どこに引っ越しても申請先が変わるだけで制度内容は同じです。
💰【どんなときにもらえる?】受給要件まとめ

次のいずれかに当てはまる場合は、児童扶養手当の対象になります。
- 父母が離婚し、片方が児童を監護している
- 父または母が死亡している
- 父または母が1年以上行方不明
- DV保護命令を受けて別居中
- 父または母が1年以上拘禁中(服役など)
- 父または母が重度障害状態
- 婚姻によらない出生で児童を育てている
👉 対象児童は「18歳到達後、最初の3月31日まで(障害児は20歳未満)」です。
✒️【最新2025年版】支給額はいくら?
(令和7年4月改定・全国共通)
子どもの人数 | 全部支給(月額) | 一部支給(月額) |
---|---|---|
1人 | 46,690円 | 11,010円〜46,680円 |
2人目 | +11,030円 | +5,520円〜11,020円 |
3人目以降 | +11,030円 | +5,520円〜11,020円 |
※物価変動により毎年8月頃に改定。
※第3子以降の加算額は、従来より増額されています。
🔍 例:子ども2人の場合
→ 最大で「56,250円」支給される可能性があります。
📈【重要】所得制限の全国共通基準(2025年11月改定反映)
児童扶養手当は前年の所得で判定されます。
つまり「今は無収入でも昨年に一定の所得があれば支給されない」ことになります。
扶養親族数 | 全部支給の所得上限 | 一部支給の所得上限 |
---|---|---|
0人 | 690,000円 | 2,080,000円 |
1人 | 1,070,000円 | 2,460,000円 |
2人 | 1,450,000円 | 2,840,000円 |
3人 | 1,830,000円 | 3,220,000円 |
扶養人数が増えるほど上限は上がります。
申請者本人だけでなく、同居している親・祖父母など扶養義務者の所得も審査対象となります。
💬 ワンポイントアドバイス
パートやバイト収入も「所得」として見られます。
迷ったら役所で“ざっくり年収を伝えて確認”すると早いです。
⤵️【なぜ落ちる?】「対象外」と言われるよくある理由

① 所得の“見方”を勘違いしている
- 「年収」ではなく「所得(控除後)」で判定します。
- 給与所得控除や社会保険料控除を差し引いた後の金額です。
- 養育費を受け取っている場合は、その8割が所得に加算される自治体もあります。
② 申請時期によって判定年度がズレる
- 申請した時期によって「前年」か「前々年」の所得を使うケースがあります。
例)2025年10月申請 → 2024年分の所得が基準になる場合あり。
③ 扶養義務者の所得が高い
- 同居の祖父母や親の所得が一定以上あると本人の所得が低くても支給されない場合があります。
☀️【FPが見た現実】「前年の収入があるからダメ」と言われた体験
私は、サラリーマンだったために「所得オーバー」で申請できませんでした。
「今は収入が審査基準であっても、昨年働いていた所得で判定される」──
相談して初めて厳密なルールを実感。
ただ、今後所得が審査基準内であれば、翌年度に再申請は可能です。
また、自治体によって「所得変動申立て」や「失業減免制度」などを設けているところもあるため、必ず窓口に相談しましょう。
📝【手続きの流れ】申請から支給までのステップ
1️⃣ 市区町村の「子育て支援課」「福祉課」などで相談
2️⃣ 必要書類を提出
・申請書
・戸籍謄本
・世帯全員の住民票
・所得証明書(源泉徴収票または確定申告書)
・離婚証明書や死亡証明書(必要に応じて該当者のみ)
3️⃣ 審査 → 認定 → 支給開始
現在の支給月は、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の年6回で、各回2か月分が支給されます 。
初回申請の場合、支給まで1〜2か月かかるのが一般的です。
💡申請のタイミングが重要
申請が遅れると、その月の分からしか支給されません。
離婚や別居が決まった時点で早めに相談を。
🖐️【もらえなかった人へ】それでも使える支援制度3選
1️⃣ 母子・父子医療費助成制度
医療費の自己負担を軽減してくれる自治体支援。
2️⃣ 国民年金保険料の免除・減免制度
無職・低所得の場合に全額または一部免除になることがあります。
3️⃣ 税制上の寡婦(夫)控除
年末調整や確定申告で「寡婦控除」を申告すれば所得税・住民税が軽減されます。
👉 「児童扶養手当がダメでも終わりじゃない」。
他の制度を活用することで生活の安定を図ることができます。
❓【よくある質問Q&A】
Q1. 今は仕事を辞めて収入ゼロ。再申請できる?
A. 翌年に所得が下がった証明ができれば再度申請可能です。減収や離職証明を添付すれば再審査されるケースもあります。
Q2. 再婚してももらえる?
A. 新しい配偶者と同居して扶養関係がある場合は、手当の対象外になります。
Q3. 児童手当と併用できる?
A. はい。児童扶養手当(ひとり親支援)と児童手当(全家庭対象)は併用可能です。
🔔 まとめ──「知らなかった」で終わらせない
児童扶養手当は、申請しなければ受け取れない“申請主義”の制度。
収入や状況が変われば、次の年に対象になる可能性が。
知らなかったことで支援を受けられない人をひとりでも減らしたい。
もし、身近に同じような状況の方がいたらこの記事をぜひシェアしてください。
支援制度を知ることが自分と子どもの未来を守る第一歩です。
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