亡くなる前の預金引き出しと7年ルール ─ 葬儀費用で困らないための実務ガイド|公正なFPシリーズ第26回

公正なFPシリーズ

親や自分の死後に「お金が動かせない」ということが起きる場合があります。

銀行口座が凍結されて、葬儀会社から「葬儀にはまず数十万円必要です」と請求され──。
私自身も身近な人を見送ったときに“初動資金の壁”を痛感しました。

この記事では、預貯金の仮払い制度(上限150万円/金融機関)葬儀費用の控除範囲最新の生前贈与7年ルールを整理。さらに「困った事例」「Q&A」まで網羅して、亡くなる前に知っておきたいお金の備え方を公正なFP視点+体験談でお伝えします。

👉 この記事を読んで、家族が困らないよう“今すぐできる備えを一つでも行動に移してみてください。保険・契約・メモ、どれも未来の安心につながります。

🏦 預貯金の仮払い制度とは?

項目内容
対象相続人(単独で請求可)
上限額金融機関ごとに150万円まで
算式「死亡時残高 × 1/3 × 法定相続分」 か「150万円」 の少ない方
必要書類戸籍・法定相続情報一覧図・本人確認書類・銀行所定用紙など
主な使途葬儀社費用、火葬・納骨、搬送費など

👉 複数銀行に口座があれば、金融機関ごとに150万円まで申請可能
ただし、使った分は相続財産として扱われるため、領収書やメモを必ず残す必要があります。

💰 葬儀費用の控除できる範囲(相続税)

控除できる費用(OK)控除できない費用(NG)
通夜・葬儀・告別式の費用香典返し
火葬・納骨・埋葬費用四十九日・一周忌の法要費用
遺体搬送費仏壇・墓石の購入費
葬儀会場・式場代遺産管理費・遺言執行費の一部
読経料・戒名料(領収が出ない場合はメモでも可)会食・接待の費用

👉 ポイントは「葬儀から納骨までの必要最低限」。これを超える費用は控除不可なので注意して。

⚠️「亡くなる前の預貯金引き出し」で気をつけること

  • 死亡直前の大口引出し → 税務署から“使途不明金”と指摘されやすい
  • 家族がカードで勝手に引き出す → 横領リスク
  • 葬儀費用のための出金 → 本人の意思をメモに残して、見積書を添付する。必要最小限に留める

👉 私も葬儀費用を工面に悩んだ経験がありますが、見積書を添付しておけば安心感が

📕生前贈与「7年ルール」(最新改正)

  • 改正前:相続開始前3年以内の贈与を持ち戻し
  • 改正後(2024年〜):相続開始前7年以内に延長
  • 緩和措置4〜7年前の贈与合計100万円まで控除

👉 ポイント:「7年以内の贈与は相続財産に戻る前提」で考えること。
毎年110万円の暦年贈与も記録がなければ、後で否認されることに。

✏️実際の困った事例

  • 事例A:葬儀資金として100万円を引き出したが、領収証なし → 税務調査で「贈与扱い」に。
    ⚠️領収書がなくても、メモで支払いした記録を残しておこう
  • 事例B:香典を「相続財産」と勘違い → 兄弟でトラブル。正しくは喪主の財産扱い
  • 事例C相続放棄した人が葬儀費用を立て替え → 税務処理で控除できずに、実費負担となる場合が。

🎒費用に困らない事前にできる3つの備え

  1. 生命保険:受取人の固有財産に。500万円×法定相続人数まで非課税。
  2. 死後事務委任契約:葬儀・納骨を専門家に委任して預託金でまかなう。
  3. 家族信託:認知症や資産凍結リスクを避けて、受託者が支払いを継続できる制度。

🙋Q&A

Q. 150万円は口座ごとですか?
A. 金融機関ごとに150万円。複数の支店は合算です。

Q. 葬儀後の香典返しは控除できますか?
A. 控除不可。あくまで返礼費用。

Q. 香典に税金はかかりますか?
A. 原則非課税。ただし社会通念を超える高額は課税対象になることも。

Q. 生前に葬儀資金を渡すのはOK?
A. 贈与扱いで7年ルール対象。必要最小限+記録必須

⬆️流れがわかる「葬儀資金フローチャート」


 👉[死亡] -->[銀行口座凍結]-->[仮払い制度で最大150万円/銀行]-->[葬儀費用支払い]-->         [領収書・メモを保存]-->[相続税申告で葬儀費用控除]  
   
👉[死亡] -->[銀行口座凍結]--> [生命保険金の受取(非課税枠あり)]-->[葬儀費用の支払い]--> [領収書・メモを保存]-->[相続税申告で葬儀費用控除]

✅まとめ

  • 葬儀費用の初動資金は、「仮払い制度」「生命保険」「死後事務委任」で確保する。
  • 葬儀費用の控除範囲は、「葬儀から納骨まで」。記録することが大切です
  • 亡くなる前の引出しや生前贈与は、「7年ルール」を前提にして証拠を残す。

私は、葬儀で「すぐに現金が必要」と迫られてあわてた経験があります。
だからこそ、今のうちに知識を持って準備しておくと、残された家族は本当に助かります。
お金の備えは“最大の思いやり”です。

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