退職代行「モームリ」逮捕は何が問題?弁護士法違反(非弁行為・非弁提携)を噛み砕く

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2026年2月3日、退職代行サービス「モームリ」を運営する会社の社長らが弁護士法違反の疑いで逮捕されたと報じられました。

報道の中心は、退職代行が違法という話ではなく、弁護士の仕事領域に踏み込む形の紹介(あっせん)と紹介料の受け渡しが疑われた点です。

この記事では、ニュースの要点と同種のトラブルでよくある地雷をわかりやすくまとめます。

🧑‍⚖️ 何が弁護士法に抵触した疑い?

(1)依頼者を弁護士へ「有償であっせん(紹介)」した疑い

モームリ側が、退職希望者を特定の弁護士へ回し、1件あたり一定額(広告費・賛助金名目など)を受け取っていた疑いが報じられています。

このケースは、弁護士法72条で問題になりやすい「周旋(あっせん)」に当たる可能性があります。

(2)弁護士側が紹介料を払って案件を受ける=非弁提携の疑い

紹介を受けた弁護士側が書類送検された旨も報じられています。

弁護士会では、紹介料授受や報酬分配が横行すると弁護士の独立性を損ね、依頼者保護に反するため問題視されるという趣旨が説明されています。

📕「退職代行=全部違法」ではありません

退職代行がやっているであろうことがこれです。

  • 本人の退職意思を伝えるだけ:直ちに違法とまでは言い切れない
  • 会社と条件交渉(有給、未払い賃金、退職日、退職金など:弁護士法72条の法律事務に踏み込んでいる可能性が

東京弁護士会では、退職代行が非弁行為になり得る典型として、未払い賃金や有給等の交渉などを挙げています。

また、「非弁業者は交渉できない」という形で注意喚起がされています。

✉️今回の報道の時系列を超ざっくり整理(2026年2月時点)

  • 2月3日:社長ら逮捕が報道(弁護士への違法あっせん・紹介料授受が焦点)
  • 2月4日:供述として「弁護士が問題ないと言っていた」趣旨が報道
  • 2月5日:紹介を受け、紹介料を支払っていた疑いで弁護士側が書類送検という報道

※刑事事件は、最終的に裁判で結論が出ます。
この記事では、報道されている容疑を前提に一般論としての線引きを説明しています。

📝参考になる「他の事例」:非弁行為は退職代行だけの話ではない

今回の件を理解するうえで大事なのは、非弁行為はいろんな分野で起きうることです。

事例A:交通事故の示談・保険会社との交渉(行政書士等が問題化しやすい)

2026年1月に自賠責保険の請求をめぐり、弁護士資格がないのに交渉業務などを請け負ったとして行政書士が逮捕された旨を報じました。

弁護士会の説明では、交通事故で行政書士は「書類作成にとどまり、交渉はできない」と述べています。

書類作成と交渉(相手方とのやりとり)は別物です
示談交渉は危険ゾーンにあたります

事例B:紹介料ビジネス(非弁提携)

弁護士会は、事件紹介・紹介料授受・報酬分配が依頼者不利益につながりうるため禁じられると説明しています。

今回の「モームリ」報道は、まさにこの類型(紹介と金銭の流れ)になります。

✅利用者が損しないためのチェックリスト(重要)

退職代行や退職サポートを検討する人が確認すべきポイントです。

ラスコル
ラスコル
  1. 交渉します/有給を取らせます/未払い賃金を請求します
    → 弁護士(または適法に団体交渉できる労組等)でないなら要注意。
  2. 弁護士を紹介できます(紹介料は別)のような導線をとる
    → 有償紹介は危ない。今回の報道もこれが焦点。
  3. 依頼先の表記が曖昧(運営者・資格者・責任者が不明
    → トラブル時の責任の所在がわからない。

❓よくあるQ&A

Q1. 退職代行は今後、全部違法になる?

A. 今回の報道は「退職代行そのもの」を違法とする話ではなく、あっせん(紹介)と紹介料などの構造が問題視されています。

Q2. 会社と揉めそうなときは、どこに頼むのが安全?

A. 交渉が必要なら弁護士が最も安全です(退職日・有給・未払い賃金など)。

Q3. 「退職の意思を伝えるだけ」なら完全にセーフ?

A. 伝言にとどまる限り問題になりにくいという見解が多い一方で、実務では境界があいまいですので、サービス内容をよく確認しましょう。

1問○✖️クイズ

Q. 退職代行業者が会社に「有給を全部消化させてください」と交渉するのは、 弁護士でなくても原則OKである。

ポイント(クリックで表示)

「退職の意思を伝える」だけなら比較的リスクが低い一方、有給・未払い賃金・退職条件などの 交渉は「法律事務」に当たり得るため、弁護士でない事業者が報酬を得て行うと 弁護士法の「非弁行為」に該当するリスクがあります。

☀️まとめ:今回の事件の核心は「交渉」よりもまず「有償あっせん」

  • 今回の報道の中心は、退職希望者を弁護士に有償で紹介し、紹介料を受け取った疑い
  • 弁護士側も紹介料を払って案件を受ける形は、非弁提携として問題になり得る
  • 退職代行を選ぶなら、「伝言」なのか「交渉」なのか、そして「紹介料の仕組み」がないかを見極める

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